理事長所信

先人たちが創り上げたつくばから、信用し合える大好きな仲間と全員で苦楽を共に、未来を創造し、地域をつなげ、子供たちの可能性を広げ、市民の笑顔を咲かす運動で一つの和となり更なる革新を発信する。

はじめに

日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに、減少への流れが加速しており、つくば市においても、つくばエクスプレス沿線開発地区や研究学園地区において、子育て世代を中心に人口の流入が続いてはいるものの、2035年の約25万6000人をピークに、やがて人口が減少していく見通しが出されています。本格的な人口減少社会に突入すると、経済停滞や行政サービスの低下などの悪影響が予想されています。この人口減少だけに留まらず、近年人類を襲った新型コロナウィルスでは、世界中の都市がロックダウンを経験し、日本でも継続的な緊急事態宣言の発令と感染防止対策を背景に、先進国では足並みを揃えてデジタル社会への進化を速めています。また、日本全土を見ても環境の変化による異常気象の増加や、近年の社会における変化のスピードは目まぐるしく、デジタルシステムによる経済発展と社会的課題解決など、長期的な対策が必要不可欠です。つくば青年会議所を担うリーダーとして、今後より一層進むデジタル社会と環境保全への取り組みが増す中で、未知なる未来の創造へ向けた取り組みを、行政・地域住民と共に一丸となってやり遂げなければなりません。「地域の未来はつくばを見ればいい」と言われるようになるため多くの革新を発信し、この困難な状況を打開していきたいと考えます。

どのような時代になっても世の中を創るのは人です。急速に変化する時代を迎える現代において、地域の未来を創り出す人の成長なくして地域の成長は見込めません。人は仲間と互いを尊重し、切磋琢磨し成長をしていくものです。だからこそ、不可能と言う言葉で可能性を切り捨てずに、より磨かれた人財が成長・活躍し、時代の変化と共に姿を変える社会の課題をとらえていくことにより無限の可能性を秘めた運動展開を実現することができます。LOMのメンバーに寄り添い、苦楽を共にし、地域の発展に使命をおき、自発的で効果的な支援を個の成長と共に創り、つくば市の課題や強みを理解し、市民から期待される青年会議所を目指します。まずは50周年、そしてその先を見据えた新たな大きな一歩を踏み出す年にし、先人たちの創り上げたつくばを継承し、共に成長し、地域の皆様と、未来のつくば青年会議所メンバーが誇れるようなLOMづくりに邁進して参ります。

オールつくばで会員拡大

5年後、10年後のつくば青年会議所の姿を想像したときに頭をよぎることは、つくば青年会議所自体の存続です。志を持ち青年会議所に入会したはずが、思えるように魅力を生み出すことができず悩むメンバーや、LOMにうまく関わることのできないメンバーもいるのではないでしょうか。この問題はつくば青年会議所だけでなく、他のLOMでもいえることだと思います。茨城県内のLOMの中でもつくば青年会議所在籍メンバーは多い方ですが、約10年前に比べると5割程度に減少しています。ではなぜ、拡大につながりきれないのか、そして青年会議所に魅力を生み出しその魅力を活力につなげることができないメンバーがいるのでしょうか。

私が考えるJCの魅力のすべては三信条の中にあります。三信条とは、日本青年会議所が設立される前の1950年にJC運動の行動綱領として生まれ、運動の本質を端的に表したものです。若い人々が集まって自己啓発・修練を行う場であり、培われた力を用いて地域社会に奉仕し、その奉仕を支える力として、会員全員、同志を貫く友情があるというものです。どのような動機で青年会議所に入会したとしても、修練だけ、奉仕だけ、友情だけでは動機を満たすことはできません。例えば自己成長を求めて入会したとして、修練だけを行っても、本当に自己の成長が達成されるかといえば難しいのです。なぜなら、インプットだけでなく、奉仕というアウトプットもなければ本当に成長したとは言えないからです。また、修練を積み重ね、奉仕の一環として事業遂行というアウトプットをしようとしても、青年会議所の事業は一人で行えるものではありません。友情があるからこそ事業は実現可能になるのです。バランスよく積み重ねていくことで、青年会議所の使命である成長、発展を遂げることができます。成長とは、今の自分よりもより大きな可能性を持つ自分になっていくこと、発展とは一段上のレベルに上がることです。三信条を基礎として成長と発展をすることで、魅力ある人・行動につながると私は考えます。

もし青年会議所メンバー一人ひとりがより魅力を持ち成長することが出来たらどうなるでしょうか。JCに入会していない人が自分の慕う、魅力ある先輩から誘われたら、魅力ある仲間から誘われたらどう思うでしょうか。魅力ある人が青年会議所は素晴らしいと話すことこそが、青年会議所の魅力を外へと発信できる一番の広告だと私は思います。魅力ある人財が育つ場所こそ、青年会議所であると私は考えており、この場所を次の世代へつないでいくことが諸先輩方から受け継いだ想いだと私は考えます。

地域に明るい豊かな社会を築こうとする青年会議所運動の一番となるものは、会員拡大運動です。周囲を巻き込む会員拡大も大切ですが、その運動も活かしながら更なる進化をさせるために、特定の人が行うのではなく、会員一人ひとりが青年会議所の有意義性を理解し、青年会議所のメリット・魅力を発信する取り組みを強化していきます。そして企業出向、就職前の学生、就職したばかりの社会人など幅広い人財の情報共有をLOM内で、SNSなどを使い青年会議所がどのような団体であるのかを今以上にオープンかつ明確にし、LOM全体で拡大に取り組むことが必要です。未来のメンバーのためにも、20~30代にわたった世代の均等な拡大、そしてメンバーの維持を図り、卒業生がいてもつくば青年会議所は100名以上のLOMを維持することを目標に、私たちの「人づくり」に向けたJC最初の運動として会員拡大をしていきます。

40周年を迎え、10年後のつくばへ

つくば青年会議所は、1983年に筑波学園青年会議所として創立されました。それ以来39年間、諸先輩方が地域と未来への想いを胸に、伝統と歴史を脈々と築き上げられてきました。

青年会議所は単年度制です。しかし、諸先輩方がつなげてきた39年間という時間の中には、その年々で向き合った役職・立場を全うし、そこで得たものを次の世代につなげていく中で生まれたいろいろな想いが詰まっています。そしてつくば青年会議所が運動を続けていくことができたのは、スポンサーLOM、近隣友好LOMの皆様による多大なるサポートや地域の皆様のご協力の晹物です。諸先輩方への想いと関係者皆様への感謝を胸に刻み、今年つくば青年会議所は40周年を迎えます。私たちがしなければならないことはこの想いと感謝を、つくばの地より発信することです。そして伝統と歴史を踏まえつつ、時代の先駆けとなるような姿勢を次の世代にしっかりとつなげていくことです。つくば青年会議所の新たなスタートとして、40周年記念式典を行い、これからのつくば青年会議所の想い、そして更なる革新となることを発信します。

近年、青年会議所の行動が私たちと同世代へ伝播しきれていないように感じます。それは同世代へ向けた事業やアクションが少ないからであると考えます。そのため、同世代へ向けた伝播の起爆剤として20代~30代に向けた記念事業を行い、若者を巻き込んで地域を盛り上げる記念事業を行います。そうすることで、同世代の間で青年会議所に対する認知度が高まると共に、地域のために活動する若者を1人でも多く増やすことになり、ひいては青年会議所の会員や活動の拡大にもつながります。また、つくば青年会議所の継続事業とも連携し、40周年という節目の年をテコとして幅広い世代に、青年会議所の魅力が届くような事業構築に努めて参ります。

笑顔と未来のためのまちづくり

「The祭inTSUKUBA」ねぶたパレードは、新型コロナウイルスの影響により、一昨年に続き2年連続の中止を余儀なくされました。この2年間を踏まえ、ねぶたパレードを行うにあたり、なぜこの地域でねぶたパレードが行われたのか。長きに渡り更なる飛躍をしながら事業を行うことができたのか。今、本当に地域から必要とされているのか。そして、どうすれば5年後、10年後につなげられるのかを踏まえて事業を構築することが必要と考えます。毎年、多くの笑顔が一番集まる祭りだからこそ、その存在をよりしっかりと地域に根付かせ地域の笑顔のために、そして地域の更なる活性化となる起爆剤とし、街を賑わせ、市民の皆様をはじめ多くの方々の笑顔を絶やさないために共に考え、皆で力を合わせて取り組む必要があります。資金面においても市内外の皆様から募集するクラウドファンディングを率先して取り入れ、広い範囲へ発信して参加の和を拡大していき、時代にあった事業構築をよりいっそうして参ります。また、新型コロナウイルス感染拡大により自粛要請が続き、それによってメンバー同士の交流が少なく感じられます。どんな事業を行うにも、仲間の絆が事業の構築・実施には欠かせません。それはコミュニケーションを深める中で生まれ、強固な団結力・結束力を生み出します。また関係諸団体、つくば梟乃會、諸先輩方との連携をさらに強固にします。多くの方々の笑顔を絶やさないためにつくばに賑わいをもたらしましょう。

個々の成長を意識する青少年の育成

青少年が健全に育つためには、環境が最も重要であり、その青少年を取り巻く環境の中には、家族・地域・学校・友人関係といった様々な要素があります。つくばは多くの研究機関・工業団地・大学が存在し、日本だけでなく世界中から多種多様な人々が集まる研究学園都市です。しかし、多くの人々は研究学園都市という存在を身近に感じているでしょうか。つくばの中には、私たちが知らない素晴らしい組織・人財もまだまだ多くいるはずです。まずは、未来を担う子供たちが地域に存在する研究機関等を理解し、研究等の成果が普段の生活にどのような貢献をしているかを学ぶ機会を作りたいと考えます。また、子供たちには、多種多様な文化が共存するつくばだからこそ、様々な文化の良いところを取り入れて、既存の仕組みやあり方を活かしながら新たなものを生み出していく意識を持ってもらうこと重要です。

この素晴らしい資源、身近で感じることができる多種多様な文化を持つつくばにおいて、既存の枠組を超え、見聞や意識を高められる子供たちが溢れる街にしていきましょう。

地域と地域のタスキをつなぐ

つくば市内には伝統と歴史が根強く残り、魅力ある地域がたくさんあります。また、つくばエクスプレス開通以来、沿線地域は著しい発展をしています。しかし、地域格差が起きており、つくばとしての一体感が損なわれているのも現状です。地域格差を超えた一体感を創るためには、人と人が行き交うきっかけとして、隠された地域の魅力を発掘し、地域内だけに留めることはせず、いくつもの地域の魅力を共有し、観光推進、情報の発信を行って参ります。
また地域と地域がつながる魅力を体感して頂くため、今年もつくば青年会議所の継続事業として、地域と地域をつなぐ「つくば駅伝」を開催します。新たな魅力を共有した地域間を起点に筑波山から街中までの地域を青年会議所としてしっかりとつなげることにより、地域格差をなくし、つくば市全体を巻き込みつくばの和をもう一度構築します。

未来を輝かせる環境活動

つくば市は、北部に位置する関東の名峰筑波山を仰ぎ、小貝川や桜川など麓を流れる川に沿って美しい田園風景が広がっています。また、世界の研究機関を牽引する筑波研究学園都市を核とした整備された街もあり、自然と都市が調和した田園都市が形成されています。これまでつくば青年会議所は環境に関する様々な事業を行って参りました。しかし、地域住民を巻き込んでの運動展開ができているとは言い難い状況です。参加する顔ぶれは大体同じという状況が続いてしまっています。環境美化運動は、地域全体を巻き込み、地域住民全員で取り組むべき課題であると考えます。一部の人間だけでなく、つくば市を生活基盤とする全ての人々の意識改革をしなければ、つくば市の環境美化の発展を実現することは困難です。そこで、私たちは、地域住民全体への環境美化啓発運動を行うことを最重要視し、多くの地域住民を巻き込むことで未来を輝かせる環境を構築する運動を展開して参ります。また、本年度もつくば市きれいなまちづくり実行委員会、その他関係諸団体と共に、環境美化運動を行い、行政・市民・事業者がそれぞれの役割を明確にし、互いに連携し合い、継続的に取り組む必要があると考えます。そのためには、地域の環境美化活動に関する互いの連携について支援・調整を行い、地域の美化活動に積極的に参加し、きれいな街づくりの推進に努め、事業所その他の事業活動を行う地域で、共にきれいな生活環境を保持し、未来を輝かせる環境美化活動につなげるための運動を行って参ります。

組織づくりは人づくり

青年会議所の想いはいつも地域の成長にあり、地域の成長を望むからこそ、強い組織として維持が必要となりますが、組織を担うのは人であることは間違いありません。青年会議所に入会しても会員としての自覚が無ければ会員としての資格は無いに等しいと言えます。青年会議所は、知識を求め社会的な責任を自覚した青年の集まりであり、その自覚こそが様々なJC運動をつくりだす起点であると考えます。その一方で、会員の視点に立ってみると、いつも家族や会社の理解と仲間の支えがあってJC活動に参加することができるのです。JC活動をする上で受けた恩を忘れることなく、恩返しをするために会員一人ひとりが常に自己成長の意識を持つと共に、個々の成長こそが組織の成長、ひいては地域の成長につなげることができるとの想いを、共有して参ります。

組織において重要なことはやはり互いを思いやる意識づくりだと考えます。自分の委員会だけを重要視するのではなく、どんな事業もつくば青年会議所として行うという意識を改めて持ち、縦つながりだけではなく、横つながりをしっかりととれる情報交換を促し、そして特定の委員会だけが事業を構築していくのではなく、つくば青年会議所の全員で事業を構築していく自覚をしっかり持ち、委員会ごとの壁をつくることなく事業を行って参ります。

本年度は、財務総括幹事会議を開催し、透明性ある健全な財務運営を図り、時代の変化に対応した価値観を見極め適切な事業費配分を行って参ります。この会議は成長する場でなくてはなりません。各委員会に対して問題提起を行い円滑な委員会運営を行う意見交換の場としても活用して参ります。またつくば青年会議所内での成長だけに留まらず、更なる自己成長のために出向先で気概と覚悟を持って頑張っているメンバーがおります。しかし、彼らの行う運動の情報がメンバーに周知されにくいのが現状です。出向者の情報や組織の運動展開による情報を共有し共感してもらうために、出向者とLOMの情報を共有する機会をつくり、各種大会・諸会議への参加推進、出向者への支援を行いより密な組織づくりを行って参ります。また、信頼し、同じ志を持って運動展開してくださった卒業生の皆様に敬意を表し、卒業生が主役となる事業を開催致します。明るい豊かな社会を構築するための効果的な運動を進めるためには総会、理事会等を円滑に運営する必要があり、事前の議事内容の精査と事前の情報共有が重要です。これらの事前準備をしっかりと行い、組織が一つの和の下につくば青年会議所運動が地域に確実につなげられるように取り組んで参ります。また連絡事項や物品の管理等、組織運営上必要となる各種管理事項についても徹底し、組織運営が円滑に行われるように致します。

私たちは青年であり経済人であります。若さと無限の可能性を秘めた私たち青年の力を存分に発揮し、社会のリーダーに必要な要素を習得する機会を創り、地域の発展に貢献するたくましい青年経済人を育成しなければなりません。共に悩み、考えを共有し、変化を取り入れ真の経済人を目指しましょう。

結びに

見返りを求めずに地域の活性化、奉仕を行う団体が青年会議所です。本来、青年会議所に入会し、個々の修練、自己成長、その中で苦楽を共にし、友情を得て、そして初めて社会への無償の奉仕ができる。私が、青年会議所から学んだものは、諸先輩たちがしっかりと作り上げてきたこの形です。この形を未来へ残し、つなげ、未来の青年会議所メンバーの糧となるように、変えないための変化を取り入れ、メンバー間のつながりを強固にし、更なるつくば青年会議所を飛躍させるための基盤を大好きな仲間と一緒にもう一度つくりたいと考えています。

40周年は通過点です。青年会議所は単年度制であるが、個々のメンバーが得たものは39年間という時間の中でいろいろな想いをつないできたからこそ、45年目、50年目、そしてその先の青年会議所メンバーへより一層素晴らしい強靭なつくば青年会議所をつなげ、先人たちが託した想いを未来のメンバーへつなげる架け橋になりたい、それが今、私たちが行う一番重要なことだと思います。

40周年を迎えるまでにたくさんの想いがある

その想いの中心にはつねに「人」がいる。

仕事、家族、たくさん人の支えを得て

地域の発展のため、仲間と共に青年会議所はつくられてきた。

そんな人たちすべてに感謝をし、

更なる50周年を見据えて

時代に合った、必要とされる青年会議所の革新を

つくばから発信する。

一般社団法人つくば青年会議所 
第40代理事長 仁平 大介