理事長所信

はじめに

 2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を原因とするパンデミックが世界中で猛威を振るい、人類のあらゆる尊厳を脅かし、社会、経済、政治は危機的状況に陥りました。私たちの生活も昨日までの日常が非日常になり、誰もが不安を抱え出口の見えない日々を過ごすこととなりました。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が延期になり、各地の青年会議所でも、当初予定していた事業が延期または中止に追い込まれました。
厳しい状況の中、青年会議所はこれまでの常識を転換し新しい時代を創るべく、今の私たちにできることを模索し、全国各地で花火を打ち上げ、行政や医療従事者にアルコール消毒液やマスクを寄付したりするなど、様々なことにチャレンジしました。国や地域を少しでも元気づけ、勇気づけ、活気づけられるようにと願い運動し、行動できる団体が青年会議所です。こんな時代だからこそ、私たちは「創始の精神」、「運動の原点」に立ち戻り、青年会議所の本来の姿を明確にして、行動していくことが必要です。
 つくば青年会議所は1983年に筑波学園青年会議所として設立されました。それ以来38年間、地域の未来のため歩みを止めることなく、熱き思いを持ち、信頼し合える仲間と共に、伝統と歴史を築き上げて来ました。私たちは、つくば青年会議所を作ってきた諸先輩方に尊敬と感謝の気持ちを忘れることなく、今私たちが思い描く明るい豊かな社会の実現のためにチャレンジの気持ちを持ち、信頼し合える仲間と共に運動することで未来につないでいきます。私もつくば青年会議所に入会して9年目を迎え、この地域をより良くするために共に切磋琢磨できる仲間を持てたことが自分の宝となっています。そして、青年会議所に所属していることに嬉しさを感じると共に、誇りを持って2021年度の運動を邁進してまいります。
つくば青年会議所は、近年では会員数が減少し、地域を取り巻く環境も刻々と変化する中で、大きな変革期を迎えています。未来へ向けたチャレンジを続けていく団体へと進化し、時代にあった組織に変わる必要があります。2019年には、「TSUKUBA MIRAI VISION」を策定し、つくばとつくば青年会議所の未来の創造に向けた取り組みを示し、運動展開を行っています。来年には設立40周年を迎えるLOMとして、仲間と共に、すでにある枠にとらわれることなく、自分の限界を超えて失敗を恐れずチャレンジしていきます。そして、つくばの未来、つくば青年会議所の未来を見据えて、人と地域を巻き込みながらより良い地域を目指した運動をすることで、一人ひとりが輝き続けるつくばを創造してまいります。

メンバー全員で会員拡大

 つくば青年会議所は設立以来、力強く運動を展開してまいりました。しかし、ここ数年は組織の原動力となる会員の数が減少し、組織としてのあり方も問われています。私たちが未来へ踏み出し時代にあった力強い組織になるためには、私たちと同じ志を持つ仲間を増やさなければなりません。会員が増えることにより、予算や事業の規模が大きくなります。そして、スケールメリットを生かしたより質の高い運動展開を実施することができます。そのためにはメンバー同士で入会候補者の情報を共有するなど会員拡大の意識を高く持ちLOM全体で拡大に取り組むことが必要です。今私たちが力を合わせ会員数の減少に歯止めをかけることが必須です。
まずは、メンバー同士が交流をして仲間意識を強く持つことが大切です。そして自分たちが熱く真剣に青年会議所の魅力を語り、入会候補者にも魅力を伝えることが本当の拡大につながっていくと考えます。そして最も大切なことは自分自身の魅力を磨き、カッコ良く、輝くJAYCEEになることです。そのようなメンバーが集まる魅力的な組織となることで、入会候補者が自然につくば青年会議所に入会したいと思うようになります。入会をお願いするだけではなく、率先して入会したいと思ってもらえるようになることが必要です。このようにして集まったメンバーは今後のつくば青年会議所を背負っていくメンバーに違いないです。すべては私たちの魅力次第です。未来へ向けた運動を共にする新しい同志をメンバー全員で増やしましょう。

感謝の心を育む青少年育成

 つくばの未来を担う子供たちが健やかに成長するためには、地域の人々と触れ合い、新たなことにチャレンジするという経験が必要不可欠です。そのような子供たちも、昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で長い期間学校に通えず、教室で先生の授業を受けられず、友達と遊ぶこともできないという今までに例を見ない体験をしました。しかし、今までの日常が非日常になってしまう中でも、子供たちは日々成長し大人への階段を登り続けています。子供たちが健やかに成長するために、私たちは何ができるでしょうか。子供たちを取り巻く社会が抱える問題や子供たちの可能性を世の中に訴えかけ、子供たちにさらなる成長の機会を提供していかなければなりません。
そこで必要なことは、子供たちに「感謝の気持ちを持つこと」の大切さを伝えていくことです。日常の生活の中にも多くの感謝が溢れています。子供たちには、家庭、学校、社会、地域にいる多くの人の支えの中で日常生活を送っていることを学んでもらい、自分自身も誰かに感謝されていることに気づいてもらい、人と人とが支え合い生きていることを理解してもらいます。そうすることで、次世代を担う子供たちが、心豊かにたくましくなると共に、感謝の心を持つことのできる人へと成長をする機会を提供してまいります。

まちづくりは市民の笑顔のために

 「The祭inTSUKUBA」ねぶたパレードは、つくばの街並みが変わる中でも、つくばのシンボルとして、長年にわたりつくばの夏の夜空に輝きを与え、来場者に笑顔を、街に賑わいを届けてきました。変わることなく続いてきたねぶたパレードも昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、市民の皆様の残念がる言葉を多く耳にしました。特に子供たちにとって、夏の風物詩であるまつりつくばの中止という今までに経験のない夏となってしまいました。
 このような状況の中、私たちに求められていることは何でしょうか。今なお市民の皆様の生活に影響を与え続けている新型コロナウイルス感染症に打ち克ち、市民の皆様の笑顔のために、地域の先駆けとなるべく「The祭inTSUKUBA」ねぶたパレードを開催することではないでしょうか。そのうえで、今までとは違う可能性を見据えた魅力溢れる新しいねぶたパレードの開催を目指します。そして、外部資金調達の手法としてクラウドファンディング等も積極的に取り入れ、地域住民の皆様にまつりをより身近に感じてもらえる事業展開を目指します。また、メンバー同士が交流を図りコミュニケーションを深めることで、強い結束力・団結力を生み出します。そして関係諸団体、つくば梟乃會、諸先輩方との連携をさらに強固なものとします。担い手も来場者も心から楽しみ笑顔になるまつりを創り上げ、つくばの街に賑わいを呼び込みましょう。

そこに咲く地域の魅力

 つくば青年会議所はこれまで継続事業の一つとして、地域の重要な資源である筑波山地域を舞台とした「ツール・ド・つくば」を開催して来ました。そして、「ツール・ド・つくば」が果たしてきた意義を継承しつつ、筑波山地域をさらに活性化させるため、新しい形での地域づくりを目指します。まずは私たちが筑波山とその周辺地域の魅力を改めて確認する場を設け、新しい筑波山の魅力を発見し、共有します。そして筑波山地域の特性を活かす事業として、筑波山地域を対象とした駅伝を開催します。駅伝は、1本のタスキをチーム一丸となって運ぶ「絆」のチーム戦です。個人戦とは違うチーム戦だからこそのドラマが生まれるのも駅伝の魅力です。このような駅伝事業を通じて、筑波山地域の魅力をさらに引き出し観光推進にもつなげていきます。
また、つくばエクスプレス開通以来、TX沿線開発地域は、目覚ましい発展をしています。私たちは、このような地域の新たな資源にも目を向ける必要があります。つくば市には他にもたくさんの魅力が存在します。魅力ある地域として今後も発展するためには、そこに携わる地域住民の想いを若い世代の住民が継承していく必要があります。そのためにも、私たちだから見つけられるつくばの魅力を掘り起こし、広く発信し、地域の人々を巻き込んでいくことで、地域の未来へつないでいきます。

未来を輝かせる環境美化

 私たちが住み暮らす地球は、生命に満ちた綺麗な惑星です。しかし近年は地球温暖化によるものと考えられる異常気象の発生など様々な環境問題が深刻化し、私たちの日常生活を脅かしています。持続可能な地域となるためには、環境問題に背を向けることなく、私たちにできることを真剣に考え、身近なことから行動していく必要があります。
 そこで、地域企業様と協力をし、未来の地域を考え見据えた事業を開催し、地域全体で環境に取り組みます。メンバー一人ひとりが環境問題に意識を高く持ち、地域に住み暮らす皆様、地域企業様を巻き込み地域全体で環境問題に向き合うことで、より良い地域環境を作ります。
また、本年も引き続きつくば市きれいなまちづくり実行委員会と共に環境美化運動を行います。
 環境美化運動に参加すると気分が良くなり前向きな気持ちになれます。そのような気持ちを地域全員で持ち、環境を良くするチャレンジの輪を広げることで、地球にも優しく未来を輝かせる環境美化につなげていきましょう。

伝統ある歴史の精神を40周年に向けて

 つくば青年会議所は1983年に日本で708番目の青年会議所として誕生しました。その目的は、『つくば市を中心とする地域社会の健全な発展を目指し、地域青年が、会員相互の友情のもとに資質向上と啓発に努め、国家及び世界の平和と繁栄に寄与すること』にあります。筑波学園青年会議所からつくば青年会議所へと名称は変わりましたが、諸先輩方から受け継いできた地域を愛し、熱く思う気持ちは変わることなく、様々な事業に取り組んでまいりました。そして誕生から39年の歴史が経過しようとしています。つくばの街も国際科学技術博覧会(つくば科学万博)の開催、6ヵ町村の合併、つくばエクスプレスの開通など、目覚しい進化を遂げてきました。人口も24万人を超える街へと発展してきました。
そして来年40周年という節目を迎えようとしている今、私たちはつくば青年会議所の運動の歩みを検証しつつ、諸先輩方がつむいできた歴史と伝統を未来へ向け、さらなる飛躍をしていかなければなりません。そのためにはメンバー一人ひとりが「創始の精神」、「運動の原点」を考え、学ぶ場を設けるとともに、明るい豊かな社会の実現のため、様々な事業に取り組んでこられた諸先輩方に感謝の気持ちと敬意を払い、未来へ向けた周年事業の開催に向け一致団結し邁進する必要があります。未来のつくば青年会議所、そして未来のつくばをみんなで創っていきましょう。

組織づくり

 つくば青年会議所は地域を愛し地域発展のために運動を展開してまいりました。その屋台骨になっているのが強固な組織運営です。堅実な組織であることにより、地域に必要とされ、地域の皆様と共に未来のつくばを考え実現に向け運動を行うことができます。そのためメンバー一人ひとりが最大限の力を発揮できる組織運営を目指します。
 まずは、私たちの運動を多くの方々に周知して、理解を得るためにSNSやホームページ、プレスリリースなどを使い青年会議所の運動や事業を発信していきます。つくばの顔として出向先で頑張っているメンバーの活躍、情報を余すことなくメンバーにお伝えします。情報を共有し共感を広げることで各種大会、諸会議への参加につなげます。さらに長年にわたりつくば青年会議所の運動を導き、歴史を作ってこられた卒業生を主役とする事業を開催し、敬意を表し送り出しましょう。
 また、本年も財務審査会議を開催し、透明性ある健全な財務運営を図ります。時代の変化とともに変わる価値観を見極め適切な事業費配分を行うことで、共に新たなチャレンジの花を咲かせましょう。
 青年会議所は、運動の全てを会議で決めていく団体です。時代の流れとともに、ウェブ会議を導入するなど会議のあり方や形は変化の時期を迎えています。時代の変化を意識しながら、未来を見据えより良い運動が行える有意義な会議運営を目指します。

出向者支援について

 世界に広がる青年会議所の仲間と交流をし、より広い地域の課題に取り組む経験を持つことは、つくばの未来を創る上でも、大きな力となっていきます。我々は、出向の機会を通じそれぞれがチャレンジをし、成長をする必要があります。メンバーには、出向の機会を積極的に活用してもらい、LOMだけでは得られない経験や学びを得て、今後の青年会議所運動の糧としてもらい、自分自身の成長につなげてもらいます。そして、出向の経験をさらなる組織力向上へつなげていきます。出向するメンバーに、つくば青年会議所の代表として責任と自覚を持って活躍してもらうため、つくば青年会議所として出向者をしっかりとサポートする態勢を整えていきます。また、出向に限らず、同じ志を共有する地域の仲間とLOMの枠を超えた交流を図り、さらなるチャレンジへとつなげていきます。

結びに

 人生とは「心に富を蓄える」ことではないだろうか。人生は楽しいことよりも、辛いことのほうが多いと聞く。辛いこと、苦しいことから逃げずに向き合うことで自身の成長につながり、自信がつく。青年会議所運動も同じだと思う。そして青年会議所には仲間がいる。そんな仲間と共に運動できる40歳までの時間、家族や仕事のスタッフという多くの人に支えられて運動をする我々には責任がある。諸先輩方が創り上げて来られたこのつくばの地域をさらに魅力ある街にすると共に、自身の成長にもつなげなくてはならない。青年会議所の役職・役割は自身の何か足りないものを埋めるために与えられるとよく聞く。役職・役割を果たすためには、自分自身と向き合い信頼できる仲間と共にチャレンジすることが必要である。ひとりではできないことでも、青年会議所の仲間がいればきっとできる。そう信じ共にチャレンジしよう。その経験と学びが「心に富を蓄える」ことにつながり、そんな経験をした大人はカッコイイ。是非私たちもカッコイイ魅力ある大人になろうじゃないか。

一般社団法人つくば青年会議所 
第39代理事長 秋田 浩之