
【はじめに】
人生の転機は、思いがけない瞬間に訪れます。2017 年 4 月、東京での仕事を終えてつくばに戻った私は、父が創業した有限会社コン・コースに入社し、同年 8 月 1 日に代表へ就任しました。初めてとなる会社経営は毎日が新たな学びと葛藤の連続でしたが、同世代の経営者の知り合いは一切おらず 、誰とも共有や相談ができずに悶々とした日々を送っていました。そんな中、たまたま地元のゴルフコンペで出会ったある先輩からふいにかけられた一言が、私を新しい世界へと導きました。
「じゃあ、JC は?」
当時の私は青年会議所のことをまったく知らず、活動目的すら理解しておりませんでしたが、地元の同世代の経営者仲間が欲しいという一心で、その場で「入ります」と即答しました。気づけばそれが、地域と真剣に向き合い、仲間と挑戦を続ける毎日の始まりになっていました。
入会後はさまざまな事業や役職を経験し、責任の範囲も一気に広がりました。中でも2022 年、つくば青年会議所 40 周年記念事業の実行委員長として臨んだ式典と祝賀会は、私にとって大きな挑戦でした。準備期間中は緊張と不安で眠れない夜もあり、悪夢にうなされるほどのプレッシャーを感じましたが、事業が成功に終わった瞬間には、胸の奥から込み上げるような達成感を味わいました。その経験を通じて、仲間と一緒に困難を乗り越え、地域のために全力を尽くすことの尊さを学びました。そして同時に、「いつか自分がこの組織の先頭に立ち、さらなる挑戦を引っ張っていく」という思いが、はっきりとした決意に変わりました。
【政治に関わり、企業を伸ばし、共に未来を拓く】
つくば市は、研究学園都市として全国から人が集まり、2025 年 1 月 1 日時点で推定人口約 26 万 2,000 人を抱えています。特に 20~30 代の転入者が増え続けており、人口増加率は 1.47%と全国平均を大きく上回っています。まちの魅力が多くの人に認められ、将来への期待が寄せられている証です。
しかし、まちの成長に比べ、市民全体の政治参加意識はいまだ十分とはいえません。
2024 年 10 月につくば市議会議員選挙が行われましたが、投票率は全体で 60.97%にとどまりました。政治は本来、人気やビジュアルで誰かを選ぶものではなく、私たちの暮らしや未来を形づくるための営みです。それにもかかわらず、多くの市民は「誰が何をしているのか」「どのような成果を出しているのか」を知る機会が少なく、政治を身近に感じられないままになっています。
そこで私たちは、市民が政治をより分かりやすく、身近に感じられる機会をつくります。2026 年 11 月には現市議会議員の任期が折り返しを迎えます。その中間期のタイミングで、各市議会議員がこれまでに取り組んできた成果や、まちの発展に向けて現在進めている施策を整理し、市民の皆様に分かりやすく理解していただける機会を設けます。さらに、その内容を地域メディアやつくば青年会議所の SNS アカウントを通じて発信し、「誰が、何を、どう進めているのか」を広く共有していきます。議員の成果を確認する機会を増やすことで、市民は政治をより身近に感じ、自分の意思で判断し、主体的に参加するきっかけとなります。
一方で、明るく豊かなつくばを築くためには、地域に根ざす企業の健全な成長も欠かせません。地場で商売や事業を営む経営者が確かな基盤を持ち、挑戦を続けられる状態をつくることが必要です。しかし現状、多くの中小企業では財務の知識が十分に浸透しておらず、その弱さが経営の不安定さや成長の停滞につながっているとも言えます。優れた商品やサービスを持っていても、数字を正しく読み解き、資金を適切に運用できなければ、持続的な発展は難しいのです。
そこで本年度、私たちつくば青年会議所は、所属するメンバーに対して、財務を学ぶ機会を設けます。財務の基礎を理解し、企業の健全な状態を見極める力を養うことは、挑戦を支える土台となります。加えて、この学びは経営者だけに意味があるものではありません。会社員として活動するつくば青年会議所メンバーにとっても、財務を理解することは大きな成長につながります。数字を通じて企業の健康状態を把握できる力は、現場での提案力や判断力を高め、組織の中で存在感を発揮する力となります。
こうした取り組みを通じて、つくば青年会議所メンバー一人ひとりが自らの社業や仕事をより力強く伸ばし、組織を動かす力を磨いていきます。健全な財務基盤を持つことこそが、新しい挑戦を可能にし、資金を守り活かす力を備えた企業が、地域に雇用と活気をもたらし、未来のつくばを支える原動力となるのです。
【仕組みで仲間を増やし、次代を担うリーダーを育てる】
本年度、私たちは会員拡大を単なる人数の増加ではなく、持続的に人が集まり続ける仕組みづくりとして捉えます。そのために、2024 年から取り組んでいる異業種交流会を一過性の事業で終わらせるのではなく、定期的に新しい候補者を獲得できる仕組みとして再構築します。
また、現役メンバーだけでなくOBの先輩方を巻き込み、新たな候補者を紹介いただく機会を設けます。これにより、現役メンバーに加えて先輩方の力も借りながら、会員拡大を進める体制を築きます。
さらに、入会直後のメンバーに対しては、迷いや戸惑いを抱くことなく活動に参加できるよう、オリエンテーションを体系化します。入会時点で役割や求められる姿勢、基本的なルールを明確に伝えることで、新しいメンバーがすぐに力を発揮できる環境を整えます。
加えて、入会 3 年未満のアカデミーメンバーには、その成長速度を加速化していくためにも青年会議所運動を実践的に学ぶ機会が必要です。そこで、全国大会をより深く理解するための事業を全国大会神戸大会開催時に現地で実施し、彼ら自身に企画・運営を担っていただきます。これにより、古くからのメンバーは全国大会の意義をより深く理解し、入会歴の浅いメンバーも主体的に取り組む中で全国大会の価値を体感することができます。
この挑戦は単なる学びにとどまらず、若手メンバーが責任を持って事業を構築し、成功へ導く過程そのものが大きな成長となります。そしてつくば青年会議所のメンバー全体に全国大会開催への理解と熱量を広げ、将来つくばで全国大会を開催するための原動力へとつながります。
【国際と環境で地域の力を結集】
少子高齢化に伴い、国内市場は年々縮小しています。つくば市においても、地域内需要のみに依存した経営では、いずれ行き詰まりを迎える時代が訪れます。日本全体を見れば、農林水産物の輸出額は 2022 年に 1.4 兆円を突破し、2030 年には 5 兆円を目指す国家戦略が進められています。私たちもこの潮流を受け止め、外へ打って出るための視点と姿勢を学んでいかなければなりません。
本年度は、地方から国際市場へ挑むために必要な考え方や心構えを学んでまいります。
単に商品を海外に届けることにとどまらず、異なる文化や価値観に触れることで新たな気づきを得ることを大切にします。そして、成功事例に学びながら、地域の可能性をどう広げていけるのかを考えるきっかけとします。
実際、つくば市の特産品には大きな可能性があります。「つくばコレクション」に認定された 41 品目の物産、日本一の規模を誇る芝の栽培、クラフトビールや農産物など、この地域ならではの強みは数多く存在しています。私たちは、それらをどのように活かしていけるのかを探り、未来につながる道を見出していきます。
さらに 2026 年度、私たちつくば青年会議所は、日本青年会議所が掲げる「カーボンニュートラルの推進」という流れに歩調を合わせ、地域からその実現を後押ししてまいります。すでに世界中で気候変動の影響が暮らしや経済に及んでおり、環境保全は負担ではなく、未来を守るための挑戦であり、新たな価値や産業を生み出す機会でもあります。スーパーシティに認定されているつくば市だからこそ、先進的な取り組みを地域から広げていく責務があります。このカーボンニュートラルの実現に向けた運動は、小さな一歩の積み重ねが大きな変化を生みます。私たちが地域に根差し、そして、地域住民を巻き込みながら挑戦を続けることで、つくばをモデルとした持続可能な未来の姿を示します。
また、私たちは、本年度も「つくば市きれいなまちづくり実行委員会」と連携し、市民や企業を巻き込みながら環境美化活動を推進します。その活動の積み重ねは、メンバー一人ひとりの誇りとなり、地域全体に強いメッセージを届けていくことにつながり、いずれ市民全体が“ゴミ一つないまち”の実現に向けて動き出すきっかけを作ります。日々の取り組みを通じて環境を守る意識を深め、次の世代へつながるまちを築いていきます。
【未来へつづく、ねぶたパレードの実現】
1981 年から続く「まつりつくば」は、今では2日間で延べ 40 万人以上を動員する、つくば市を代表する祭りとなりました。その長い歴史の中で、つくば青年会議所が中心となって紡いできた「The 祭 in TSUKUBA ねぶたパレード」は、本年度で 28 回目を迎えます。つくば青年会議所にとって最も歴史が深く、そして最大規模の事業であり、地域の誇りそのものであると言っても過言ではありません。
しかし、時代の移り変わりの中で、会員数の減少や社会の変化が進み、従来の方法だけでは将来的に開催が難しくなることは明白です。だからこそ今、改革が求められています。本年度は、ねぶたパレードを未来へつなぐため、“持続可能な形”を本気で追求していきます。
まずは、より多くの企業を巻き込める新たな協賛形態を確立します。企業が自らの姿勢や社会的役割をパレードの中で発信できる仕組みを整えることで、地域の企業が誇りを持って参画できる環境をつくり、地域との結びつきをさらに強めていきます。
また、地域のボランティアを積極的に募り、学生・社会人・シニアといった多様な世代が役割を担える体制を整えます。加えて、限定的な雇用や外部委託も柔軟に取り入れ、運営側の人的負担を抑えながら、誰もが無理なく関われる仕組みを実現します。この取り組みはパレード当日の盛り上がりにとどまらず、地域全体の活力へとつながっていきます。私たちは、この事業を未来へと続けるために、財源も人材も安定的に循環する仕組みを構築し、常に持続可能な形を追求することで、将来的な移管を目指します。
【TX 沿線をひとつに、全国大会への一歩を踏み出す】
全国大会の開催は、開催すること自体が目的ではなく、その開催を通じて 5 年後、10 年後につくばのまちをどのように変えていくのかという未来像を描き、着実に実現していくための手段です。
まず、つくば市は現在、全国でも有数の人口増加率を誇りますが、2030 年以降には減少に転じると予測され、茨城県全体も 2035 年を目途に人口減少が加速すると言われています。したがって、今こそつくばが人口増加に代わるさらなる発展の要素を獲得することが必要です。全国大会を開催することは一時的な経済効果にとどまらず、全国的な知名度向上につながり、将来的にはスポーツチームの誘致やアリーナ建設など新たな都市機能を呼び込む可能性を広げます。人口減少が始まる 2030 年以降、つくば市の発展のきっかけをつくるのは私たちつくば青年会議所であり、その第一歩がこの全国大会の開催にほかなりません。
さらに、全国的に人口減少や過疎化が進む中で、決して中心都市ではないつくば市が全国大会を開催することには大きな意義があります。「小さなまちだから無理だ」「人数が少ない LOM だからできない」と挑戦を諦めてしまう青年会議所は全国に多数あるはずです。しかし、できない理由を並べて挑戦から避けていては組織も個人も成長せず、その先に明るい豊かな社会は訪れません。だからこそ、私たちつくば青年会議所が「地方都市でも全国大会を開催できる」という事実を示し、新しいモデルケースとして全国の仲間に勇気を与える必要があるのです。
加えて、現代のまちの発展に必要なのは、一時的な観光資源ではなく「ここに住みたい」と選ばれるまちづくりです。全国大会を通じて全国から人々が訪れることで、なぜこのまちが選ばれているのかを示すことができ、全国のまちにとっても発展のヒントとなります。
また、この挑戦を成功させるには各地青年会議所や各ブロック協議会の枠を越えた協力が欠かせません。関東地区 155 青年会議所、約 6,000 名の仲間を巻き込み、まずはつくばエクスプレス沿線の LOM との信頼関係構築を進めます。開催の意義や沿線に還元される価値を丁寧に伝えることで、理解と協力を得てまいります。
そして、全国大会の開催は地域の未来だけでなく、私たちメンバー自身の成長にもつながります。準備段階から開催後までを見据えたロードマップを策定し、一人ひとりが自らの役割と目標を理解できる環境を整えるとともに、神戸大会への参加促進やアカデミーメンバーが開催する全国大会に関する事業のフォローアップを通じて学びと熱量を持ち帰り、つくば青年会議所の組織全体を鼓舞していきます。
全国大会の開催は、つくば市の未来を切り拓く大きな挑戦であり、同時に私たち自身の成長の機会でもあります。地方都市であるつくばが全国に示す新たなモデルケースは、茨城の発展を加速させ、人口減少時代を迎える 2030 年以降のまちの進化につながります。
そして、この挑戦に真剣に取り組む姿勢こそが、私たちが住み暮らすまちに希望をもたらし、全国の仲間に勇気を届けるものとなります。私たちつくば青年会議所は、この全国大会をまちの発展と自己成長の両輪と位置づけ、つくば、そして茨城の未来をさらに豊かにするための一歩を力強く踏み出してまいります。
【効率性と規律で組織力を最大化する】
青年会議所の運営を効果的に進めるためには、表に立って活動する各委員会だけでなく、組織を裏側から支える専務室の存在が欠かせません。この専務室がしっかりと機能してこそ、すべてのメンバーが安心して力を発揮できる環境が整い、組織全体の動きがより円滑になります。
まず大切なのは、当たり前のことを徹底する姿勢です。提出期限を守ること、会議を定刻で開始し、定刻で終えることなど、一つひとつのルールを積み重ねることで組織の健全さが保たれます。同時に、会議や情報共有を効率的かつ分かりやすく整えることも重要です。無駄のない運営や整理された情報の発信が行われることで、組織全体が同じ方向を向き、各委員会の事業構築を支える力となります。様々な規律を守り、透明性を持った情報が共有されている状態こそが、信頼を育み、全員が安心して活動できる基盤となるのです。
さらに、私たちは対外への効果的な情報発信にも力を注ぎます。各種 SNS のフォロワー数にこだわり、トータルで 1.5 万人の達成を目指します。その過程で、「青年会議所らしさ」に捉われない新しい切り口での情報発信にも挑み、より幅広い層にアプローチしていきます。情報発信を積極的に行うことで、組織としての存在感を高め、つくば市内外から注目される団体を目指します。
また、財政の健全な管理も欠かせません。限られた資源を最大限に活かし、費用対効果を意識した運営を行うことで、各委員会が安心して事業構築を進められる環境を整えます。財務の規律が守られているからこそ、組織全体が未来に向けて持続的に成長できるのです。
このように専務室全体が一体となって役割を果たし合い、互いに補い合うことで、つくば青年会議所の全メンバーがその役割を全うし、組織として最大限の力を発揮できるようにします。効率性と規律を大切にしながら各委員会の事業構築を支える体制を築き、私たちは次の時代につながる強い組織を実現していきます。
【終わりに】
私は 2022 年、つくば青年会議所創立 40 周年記念式典の実行委員長として、謝辞の中で「どんなに困難な状況でも勇気を持って挑戦し続けます」と述べました。あの言葉は、単なる式典の場での決意ではなく、私の青年会議所活動の根幹となる想いです。どうせ青年会議所をやるなら中途半端ではなく、勇気を持って思い切り挑戦し、その経験を自分たちの力に、そして成長へと変えていきましょう。
これから私たちは、大きな挑戦に向かって進んでいきます。しかし、つくば青年会議所のメンバーであれば、必ずやり遂げられると信じています。仲間と共に挑み、乗り越え、その先の景色を必ずこの手でつかみ取ることができます。
そして、きっとこの挑戦は青年会議所運動だけに留まりません。仕事や社業をさらに伸ばし、家庭を大切にすることもまた、私たちが成長し続けるために欠かせない挑戦です。
人生のあらゆる場面で勇気を持って挑み、その歩みを力へと変えていきます。
さあ、勇気を持って挑戦し、それを力とすることで、つくばの未来を私たちの手で切り拓いていきましょう。
一般社団法人つくば⻘年会議所
第 44 代理事⻑ 大関 虎之介





