理事長あいさつ

2020年度スローガン

一般社団法人つくば青年会議所
第38代理事長 神田 哲志

 

~はじめに~

これまで37年の年月をかけて積み上げてきたつくば青年会議所の歴史は、今、大きな変革期を迎えています。時代が目まぐるしく変わりゆく中、我々がするべきこと、目指していく未来、残すべき伝統をよく見極めていかなければなりません。諸先輩方が築き上げてこられた様々な歴史を鑑み、深い尊敬とともに感謝の念を忘れずに邁進するとともに、私たちが思い描く明るい豊かな社会の創造へ向けてさらなる躍進をしてまいります。
昨年、日本は新元号「令和」とともに新たな時代へと突入し、新たな歴史の1ページを開きました。そして今年、日本は世界的に大きく注目される年となります。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会、JCI世界会議横浜大会の開催に伴い、世界各国から多くの人々が日本を訪れる年となります。この歴史的な年に、私たちつくば青年会議所では11年ぶりに茨城ブロック協議会会長を輩出いたします。私たちは、これら社会、そしてLOMに与えられた機会を存分に活かし、社会全体から茨城を捉え、つくばの未来を見据えることですべてのメンバーが自己成長の場につなげることができる1年にしなければなりません。私たちは、全力をもってこの恵まれた機会にコミットできる体制を整えて参ります。変化と失敗を恐れずに挑戦していく気持ちが、関わる人びとの心を動かし、街全体を動かしていきます。

つくば市は人口24万人を有し、『西の富士、東の筑波』と謳われる関東の名峰筑波山、そして日本の頭脳が集結する研究機関を併せ持つ自然と最先端学術とが融合する資源豊富な都市です。このような恵まれた都市環境のもとで、私たちは多岐にわたり運動展開することができます。
諸先輩方が紡いでこられた明るい豊かな社会の実現に向けた各種事業は、時を経て今もなお地域に多大な影響を与えています。私たちは、先輩方から継承した経験を活かしつつ、社会の変化に即応した事業を展開していく事で、数年、数十年先に訪れる地域発展に寄与します。

 

~地域づくり Regional Activation~

つくば市北部に位置する関東の名峰筑波山。その重要な資源を活用することはこの街にとって大きなメリットとなります。
これまで、私たちは筑波山地域において『ツール・ド・つくば』を開催してきました。しかし、従来のような資源活用の形は、現在、大きな転換期に差し掛かっていると考えます。『ツール・ド・つくば』事業の開催は、筑波山の知名度を向上させ、隠された資源の発掘に貢献してきました。しかし、筑波山地域のさらなる飛躍のためには、当該事業を継続的に開催するという形に囚われることなく、全く新しい形での地域づくりの形、筑波山をさらに活性化させる未来像を描き事業構築をしていかなければなりません。
これまでの『ツール・ド・つくば』にて得られた結果を総括して、再検証するとともに、地域事業者や地域住民の声を反映し、地域運動の本質を捉え、その地に暮らす人々に必要な事業の構築を今一度考え直し、新たな形で筑波山地域を盛り上げられる手法を検討し、実行していきます。
また、近年の大きな傾向として、TX沿線地域では人口増加に伴う大きな発展が見られますが、それ以外の地域(つくば市周辺市街地を始めとする地域。以下、「つくば市周辺地域」といいます。)においては、出生率の低下や地域の賑わいの低下などの課題が浮き彫りとなってしまっています。私たちは、地域づくりを行う団体の使命として、特に出生率の低下や地域の賑わいが低下してしまっている地域を盛り上げ、つくば市周辺地域に再び活気が戻ってくるような事業を開催する必要があります。

 

~会員拡大 LOM Scale-Up~

全国的にメンバー数の減少が問題となっている青年会議所。私たちつくば青年会議所も例外ではありません。私たちが社会に先駆けた重要な運動展開をするための重要な要素の1つは、〈数〉であります。そこで、多くのメンバーを仲間に加えるべく、継続的かつ積極的な会員拡大を進めてまいります。
しかし、ただ数字だけを追っても良い組織とはなりません。メンバーの〈JAYCEEとしての質〉という点も、また組織力強化の為には重要な要素の1つとなります。本会の本質をとらえ、自発的に行動ができる人財。そのような人財育成が実現できてこそ、私たちの目指すべき運動展開を実現する事ができます。その結果、地域にとってさらに必要とされる魅力的な団体へと昇華することができるのです。
メンバーの数と質、その双方をしっかりと捉えられて、初めてLOMとして明るい豊かな街づくりへ向けた運動展開が可能となります。形だけに捕らわれた会員拡大を行うのではなく、新たな手法を用いながら、将来を見据えた有望な人財を拡充し、組織をより強固なものへ変革していきます。当該年度だけではなく、数年先まで見据え、継続した拡大計画を実施する必要があるのです。
また、私たちは、新たな会員拡大手法の一環として、メンバー各々のビジネスの機会につながるような事業を積極的に展開します。経営者としてのスキルアップの機会を提供できる組織としても存在価値を高め、組織拡大・発展の為の重要な手段の一つとします。

 

~SDGs推進~

私たちつくば青年会議所が一体となって目指すべき新時代(みらい)へ進むためには、SDGs、すなわち持続可能な目標が大きな道しるべとなります。メンバー全員がSDGsという物差しを共有することで、つくば青年会議所は組織としてより一体感を増し、更なる効果的な事業、運動展開が可能になるものと考えます。
また、私たちがSDGsを推進していくことは、持続可能な社会の形成に対しても好影響を生み出すものと考えます。昨年度より、日本青年会議所ではSDGsを日本一推進する団体として運動展開を続けております。私たちが住み暮らすつくば市でも、SDGs未来都市として国から選定を受け、SDGsを中心に据えた行政運営を進めています。このような状況のもと、私たちはSDGsを通して日本青年会議所、つくば市との間で価値観を共有することができ、これまで以上に歩みを共にすることが可能となり、持続可能な社会の実現へ向けて大きな影響を与えることができると確信しています。
SDGsを架け橋として、つくば市や地域住民、各種団体、企業の皆様と共に連携を取り、SDGsのさらなる推進を通じて明るい豊かな社会の実現に向け取り組んでまいります。

 

~街づくり Community Design~

これまで共に活動してきた仲間との信頼関係が築けてきたからこそ、今の私たちがあります。継続事業として長年にわたり続けてきた『The 祭 in TSUKUBA』ねぶたパレード事業は、つくばの夏の風物詩として地域の発展に寄与してきたという対外的な役割に加えて、その準備・設営を通じ、この組織の潤滑油としての重要な役割も果たしてきました。本事業は、事業構築を通じてメンバーそれぞれが苦楽を共に感じ、LOM内に強い結束力・団結力を醸成してくれるとともに、個々のメンバーが自己成長を感じられる事業であり続けています。
『The 祭 in TSUKUBA』ねぶたパレード事業は、つくば青年会議所にとって核となる運動の1つです。この事業は、まだまだ大きく発展していく可能性、私たちや地域にとって多大な恩恵をもたらしてくれる可能性にあふれています。今年度も、地域にも必要とされている当該事業を限られた時間の中で大成功に導き、私たちが進める街づくりの核の1つとしてまいります。
今年度は、新たな試みの一つとして、クラウドファンディング等の外部資金調達手段の利用を積極的に推進します。従来とは違った形での外部資金調達手法を実践することで、地域住民の皆様にも私たちの行う本事業をより身近に感じて頂き、一層の一体感を持って推進できる事業の形を目指します。

 

~青少年育成 Youth Development~

将来の日本を背負って立つ、この国の宝である子供たち。そんな彼らに対して、現在、地域として十分な学びの場を提供できているといえるでしょうか。私たち地域住民は、学校では教えることが難しいが、社会の一員として活躍するにあたって大切な物事を様々な直接体験を通じて子供たちに伝えていく義務があります。私たちが率先して子供たちに学びの場を提供することが、新時代に向けた大きな前進になるものと考えます。
つくば市は、従来から研究学園都市として国際交流が盛んな街です。さらに、今年度は東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が行われることもあり、地域住民の皆様には例年以上に諸外国への関心が高まる年になります。つくば青年会議所では、特にこの国の未来を担う子供たちに、積極的に諸外国の文化に触れる機会を提供できるような事業を実施します。
また、つくば市には、筑波大学等を始めとして、スポーツ分野においても他地域に誇れる素晴らしい環境を有しています。そこで、私たちは、スポーツ分野において素晴らしい環境を所有する他団体とも積極的に連携させて頂き、子供たちにスポーツの楽しさはもちろん、スポーツマンシップに代表されるような健全な精神を育んでもらえるような事業を展開します。
子供たちが異文化を身近なものとして受容していく事、スポーツを通じて健全な精神を育んでいく事は、数年、数十年先につくば市から日本のみならず世界で活躍する人材が輩出され、つくば市が国際的に名誉ある地位を築いていく事に大きく資するものと確信いたします。

 

~環境美化 Ecological City~

つくば青年会議所では、これまでも環境に関する様々な事業を行ってまいりました。しかし、現在まで思うように住民を巻き込んだ運動を展開できているとは言い難い状況です。地域の環境美化運動を推進するため、手法を変えながら様々な事業を展開してきましたが、結局は参加する人間は同じという状況が続いてしまっています。今年度は、これまで以上にこういった現状を打破するきっかけとなる1年にしなければなりません。
環境美化運動は、地域全体を巻き込み、地域住民全員で取り組むべき課題であると考えます。一部の人間だけでなく、つくば市を生活基盤とするすべての人びとの意識改革をしなければ、真の意味でつくば市の環境美化の発展を実現することは困難です。そこで、私たちは、〈環境美化運動に地域住民を巻き込んでいく〉という点を最重要視し、多くの地域住民にご協力頂く事で美しい街づくりに好影響を与えることができるような運動を展開してまいります。さらに、他団体との連携も積極的に行い、より広域的かつ深化した運動展開の方法も模索していきます。
また、今年度も引き続きつくば市きれいなまちづくり実行委員会との連携を行いますが、委員会との間でも〈環境美化運動に地域住民を巻き込んでいく〉という視点を共有し、効果的な運動の手法を協議しながら共に街の環境美化運動推進に取り組みます。

 

~組織づくり~

時代の流れに伴い、社会全体の価値観は日々変化してきております。当然ながら、私たち青年経済人の考え方や気質も例外ではありません。青年会議所が将来にわたって社会に必要とされる団体、青年経済人にとっての目標の1つとされるような団体で在り続けるためには、青年会議所が長年積み上げてきたフィロソフィーを核としつつも、実際の組織と運動の在り方についてはメンバーの実情や社会の価値観の変化などの状況を踏まえて柔軟に変革していく必要があるものと考えます。
組織整備においては、一部のメンバーだけでなく、全てのメンバーがつくば青年会議所に強く愛着を持ってもらえるような組織の在り方を追求します。財政面においては、会員数の減少という抗いがたい現状があることをふまえて、厳格かつ適正なる予算編成と実行が求められます。また、内部資本のみに頼ることなく、クラウドファンディングなど外部資金調達の方法も積極的に活用していきます。広報渉外面においては、茨城ブロック協議会をはじめとする各種団体との関係が例年以上に密になることなどに鑑み、迅速かつ正確な情報発信等を実践します。
また、今年度は茨城ブロック協議会を中心に、メンバーから多くの出向者を輩出いたします。そのため、LOM全体を挙げてバックアップ体制を十分に備えなければなりません。各所から集まってくる情報を全員で共有し、各所におけるメンバーの様々な活躍を広く内外に発信してまいります。
強固な組織は、万全の内部体制を備えているからこそ成り立ちます。ブロック会長輩出LOMとして茨城県内外を問わず多くの方に注目される中で、組織体制を内部からしっかりと支え、まとめ上げなければなりません。万全の体制のもとで最大限の運動展開していくことこそ、私たちが地域に必要とされ続けるための最も重要な要素となります。

 

~40周年へ向けて~

2年後につくば青年会議所は設立40周年を迎えます。来る40周年に向けて、次代を担う優秀な人財を育成しなければなりません。昨年定めた『TSUKUBA MIRAI VISION』は、設立40周年に向けた私たちの行動規範を示しております。私たちは、『TSUKUBA MIRAI VISION』の掲げる理念を常に自覚し、これに合致した運動展開をしなければなりません。
40周年を間近に控えた今、もう一度LOMの内情を精査し、変革と成長をしたJCと融合させなければ、明るい未来が閉ざされてしまう事態すら生じ得ます。諸先輩方が紡いでこられた組織の伝統と私たちの躍進を融合させ、40周年、さらにその先へとつながっていく強固な組織へと成長していきます。

 

~おわりに~

私たちが進むべき道は自ら設定し、自ら動き出さなくてはなりません。人生の数少ないチャンスを成長の機会と捉え積極的に突き進んでいきましょう。そのためには己のこと、街のことをしっかりと把握しなければなりません。

 

今一度自分たちで見つめなおそう

この街のために何ができるか

自分たちが思い描く輝ける新時代のために